irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

短歌

10

前歯の裏磨き忘れた、と君が言う 洗ったっけと舌先でなぞる香水の量気にしてるまだ顔も見たことのない恋人のため今週はなるべく自炊をしようと思う だから新しい料理本を買うフランスパン二口の間に行っちゃった 赤い電車の残酷なこと気安めに赤チン塗ってる…

11

三角の顔が揃って家々はみんな朝陽のほうを見るためいつまでもトキントキンのままの色 なんで白にもえんぴつがあるのコーヒーを少し残すの癖だねと君に言われてドキッとしたり生命の神秘を君に伝えなきゃ おたまじゃくしはカエルになるの一人でもいただきま…

12

一本でもにんじんをもじり ひとつでも 乳房 と言う母のかなしき「空」という停車場の文字、青色で 青信号に見えて歩いたゆきゆきて進軍 君の態度からあのタイトルが連想されてこの国は恐ろしい国 震度5弱 一人死んでも大騒ぎしない人間の体温よりも低いのに…

08

水面が鉛の鏡のようだと言う 君の大袈裟な比喩に戸惑う人として終わり、に思う朝だった 出産シーンで感動しない化学的刺激でわたし黄色くなる 光を失くした花びらになる眠るとは明日への切り替えスイッチを押すということ だから怖くて

09

ビー玉で覗いた街は逆さまで このまま二人は二人のようで近隣の自然をみんな食い尽くす わたしのプリン食べた仕返し金曜の夜でも私は私です 何も期待はしないでほしい会いたいと思う理由が保険なら 君も私も楽だろうにね

06

あちこちでみんな見てるよって囁いたら彼女忽ちさくらの花びら龍脈に背いてレインコートを被るそうやって君は欺くんだろ夜と朝はいっしゅんで入れ替わるからほしの大きなまばたきみたいね「月に還る」子宮がわたしに訴える 何か産まれてきそうな週末

07

もう足を洗えないだろうね音楽から 鼓動も楽器に変えるだろうね心のなかひっそり思うことがある 君はギリギリ人間って感じ寂しさは穴みたいだなスコップもシャベルも無いのにいつからあったのこの海は世界の煮こごりなのだと言う 君は沈んでしまう幽木

夜と朝はいっしゅんで入れ替わるからほしの大きなまばたきみたいね

05

イメージで雨女って言われるならわたしの四半世紀はどこへ子守りなどしたくもないけど真似事をさせてわたしの母性よおいで~ですね、~ですかねがこの場合 気まずさを埋める小石のようで月を追う どんどん悪くなるようにも また転んでも諦められずにでも夜に…

04

きみを知るために手段はえげつなく 呟き、mixi、前の恋人またきみがドタキャンするって知らないから 別段好きでもないのにラーメン「○○くん」「○○さん」の枠を出ず 君のソファーで 君は指さえ触れようともせず思い入れの重機撫ぜるのと同じ具合で触れてきて…

03

午前2時野菜スティックかじりつく 背中丸めてテレビ見るデブ「わかるわかる」わたしは分からん 地下鉄が暑いこととかレッドブルとか洗濯機も、スマートフォンにも苛つくし 傷つかないよう浅く信じる母からの玉ねぎまだ冷蔵庫の奥で 食べられもせず芽も伸ば…

02

生き急ぐ 週末の暮れホントなら実家にいたの、台風のせいよ みんなあのチカチカしている服を着る 多面鏡だな 地下鉄の窓 「病んでる」と言いつつわたしのこと笑うし寝るし食べるしシーツも洗うね独特の進化遂げたきみのかんさい言葉で罵られたらたまらない、…

01

年取れば取るほどいのち遠ざかる 意味も涙も知ろうともせず病は無情 どうしていい人ばかり逝く 波にさらうる星のひとみら残業後、スーパー、惣菜 5割引 泣き泣き食べる 嫌いなエビチリ言い訳が 上手くなるから同期では 集まらないで一人飲む夜優しさを振る…