irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

2006

ぼくは真夏に生まれた

ぼくは真夏に生きてるぼくは真夏に生きてるぼくは真夏に生きてるどうしてこんなに寒いのか ウィスキーを飲んでいる人を見ると早く大人になりたくなるだってすぐにあたたかくなれるだろ ぼくの耳にくっついて離れなかったキティが舌打ちをしてどこかに行って…

灰色の視界に黄色ぽつんとそんなところにたたずんでいるとまるでだれか死んだようだろ傘の下だれにも見られはしないさ

貧しい

少しきざな響きのカクテルを飲み干したまずしいバーの隅の影に落としたらしい言葉もう戻ってこない気がした 今もまだ増え続けている偽札で買ったボトルバーテンは気づいていないしやり直そうと、 まずしいバーテンが煙草に火をともすまずい酒と 食事と頭のな…

アリスへ

くらい、コンパートメントルームで車輪の揺れゆく音だけを聴くきみは窓の外を見てゐれば自由になれると、願っていたやうに見えた もしも、この180度すべてが極彩色ならばきみもきっと極彩色であれただらうに アリス、言葉などなくしてしまへよとほく、とほく…

にびいろ

にびいろの電話はどこへもつながっていませんただ小さく鳴ったあと出てくるのはいつも同じ声で「ただいまこのでんわはつかわれておりません」と、ほほえみながら言うのですだから結局にびいろは電車のなかもドアノブの上もかけあがって疲れたあとで手のひら…