irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

2010

無実の羊

自らの肉片を晒しても まだ裸でないと言う腐っていく肉体に困惑し君は光へ手を伸ばした さ迷っている いくつの魂を導いた気でいても(君を救えない)溢るる欲望を尻目に君は街を這い、 荒野を駆け抜け、 海を前に立ち止まる あの衛星を目指しても この国すら出…

死んでたまるか

うつわを満たす黴くさい血 喉が渇ききっていて絶望すら飲み干した殺傷力不十分な毒を盛って喜んで テロのつもりなら倫理に反しても失せてくれないかと鎖を巻くのはわたし自身 幾度巻いても物足りず やがて首に手をかける ごっこ遊びみたいという幻覚がちらつ…

夏の思い出

毎日少しずつ息苦しくなってく鉢の金魚は溺れたがっている ように見える泡噴いてるの羨ま ぬるい思い出ひたり どこからやり直せばいい鉢の金魚は沈んだ星を探している ように見える水替えたって無駄 夏の花火それか蚊になり一瞬で満腹に生終えて輪廻から外れ…

いくしみ

再会を願ったのは君か僕か久々に会ったのに浮かれない窮屈なところに予定入れないでくれ 煩わしい電子音 けばくて吐けるね気持ちだけはあると思ってたけど それももうむりみたい飾ることだって 宇宙だ でも現実 君の部屋ジャスミンくさい

褐色

飾らない言葉なんて あるのか素直に言うこと それ自体すこし飾り飾らない雰囲気それすら怪しい嘘かどうかなんて見抜けない人の嘘ならまだしも自分についた嘘など到底 躾のなってない犬か、と思うような どうでもいい奴らに手を噛まれ 泣く それでも この世わ…

副作用

だれがやってたっていいんだ たいした事じゃないんだ それでも教室の壁には幸福論をうたったポスターが神のように君臨している教室の嘲笑は正義を振りかざして何を奪う嘘つくのがなにがわるい やさしくてなにがいいんだ嘘なんて自己防衛だろ やさしさなんて…

道幅の狭さ

真っ白な朝は訪れた ビーカーいっぱいに巻き付いた毒蛇や道端に転がった猫の死骸のように不気味な気配がそこにはある昨日を川に流して おまえの亡霊が立ち尽くしているよ いくあてがなくて困らなくていいよ おまえの未来はここではないよ…こんな狭い道に一人…

おかしなかどわかし

じっとりと纏わりつく雨のにおいと長い髪その傘は似合わないとおもった でも引き返すことも出来ないと思った ぼくらのあいだには躊躇いもなかった白い息を交わし合う路地裏の湿った空気の中で このまま彫刻のイメージを いくつも描いて この血とともに かた…

道化

溜息が石になって あなたの頭上に落ちる私はおどけてるふりで誤魔化して風はわたしにますます冷たく わたしの体の管に セメントを流しこめたら わたしはもうわたしの意志で黙らなくていい離ればなれの両腕に刺青を入れよう あなたの庭に咲く薔薇のその赤色を…

欠伸の庭 / 違えねえ

違えねえなあ、のしわがれ声は私をすとんと落ち着かせる まだ見えなかった先の話も近づけばらくになると言って私の頭を撫でた真っ赤なつぼみ大人になりたかった時代でも だまされているのは知っていた縁側の二人とつぼみ違えねえ、が聞こえると私は必ず口を…

陽炎

花の中で糸をひく君の中で手をのばす香りの中に嘘をしる これならどう、と試されるほど ただ飲み水をください。とかわしてみせて呆れてくれていいのだ その硝子越しに失笑を浮かべてほしい見違えて すれ違う街中 地雷ばかりだな まだ抜け出せない栄町こたえ…

34日

嫉妬が腐って燃え上がり消えてはまた、火が点いて細かに震え続ける箱を押さえつけている あなたを忘れる日を逆算しはじめる夜無知によって作り上げたあなたの虚像を壊そうそしてまた組み立てるこの感情の不可解さをわらいながら