irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

にびいろ

にびいろの電話は
どこへもつながっていません
ただ小さく鳴ったあと
出てくるのはいつも同じ声で
「ただいまこのでんわはつかわれておりません」
と、ほほえみながら言うのです
だから結局にびいろは
電車のなかもドアノブの上も
かけあがって疲れたあとで
手のひらから広がっていく
ツブツブの名前を知らぬまま
ここがどこかも分からずに消えていきました