irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

アップデート

話の途中でピクリとも動かなくなったからこの人は停滞を感じているのだろう 今目の前の四車線の道路とは違う 停まれ自動車 鍵を返せ 停まれ自動車 幸先を示せ 停まれ自動車 渋滞でイラつくのは 矛盾 生まれたばかりの子どもと 握手それはまだ 挨拶ではなく調…

風が吹くとゆれる

運河の境目の公園で蚊にくわれた川沿いを歩きながら強い風が吹きコンタクトがずれて 涙 えんこはしの西の家は土屋くん家に似ていたあすこにはたくさんのグッピーが居たがこの川には死んだ魚が浮いている 立入禁止だとか安全第一だとか立て札ばかりで 人はな…

天使

きかせてくれよ 声を誘い合わせて降りてきたんでしょう 天使呪文のような名前で呼びかけることも憚れるような美しい名前でまだ声が聞こえない きかせてくれよ 声を80dBの音階で唄うのでしょう生まれいづる悦びを 自己犠牲は自愛のうちに成り立つか自己欺瞞は…

ドラマティック飛行体

こんな具合で始まる イザナギとイザナミが引っ掻き回したスープはオガクズになって降り積もったはじめは鉱物のようだったのがニンゲンが生まれてはじめて星は土を得た そしてほんのわずかな時間立っている私燃えるマグマに色が無いように魂にも色は無い 神話…

一日は長いんだから

一日は 長いんだから使いきらないと損だろう今日が終わるまであと三時間チョット本屋へ行こうかな 一日は 長いんだから使いきらないと損だろう待ち合わせまであと三分鏡くらいは見ていいかな 一日は 長いんだけど一月は 早いなあ一年は 瞬く間に過ぎ一生は …

忘れないように

今日は良い天気なので覚え書きしても良いだろう - 悪名高い市民病院の日曜のエントランス- 政治的な側面の神社に咲いている彼岸花- 校則違反のブランドバッグを提げた高校生- 美人 わたしはそれらに心の何かを掬われる

近未来

笑ってはいけない新幹線の中で笑いを堪えている声が漏れてしまっている小学生サンマンションとは名ばかりのAからH棟まである団地で壁に書いた相合傘とゴジラ みどりちゃんはみどりちゃんという名前の予定だったけれど男の子だったからカズヘイくんになったと…

思い出

ねえ 授業中カンニングしてたでしょう 知ってた壊れて間もないメトロノームと壊れたままの古いチャイムとあの頃 君の描く無重力に私は酔いしれていた まだ君は かくれんぼしてるだろう気づいて上司も君に目つぶしをしたい悦ばしいのはリストラ晴ればれとした…

温室

そこにはゴロツキが一匹 流行はこの市松模様ですと壁に掛けられた椰子の木が微笑みかける芥子の実は毒ガスへ教室中に充満する多肉植物が孕んだのは ドラキュラの卵だしそう クール アンドロイドはヤマを張って転落する工作員は北口にこっそりテントを張って…

新生 / 口から

先日 交通事故を起こしたおじいさんは跳ね飛ばされてかと思ったら直立に起き上がって すたすたと歩き始めたゲームの中のように スターのマークを手に入れた訳でもないのに それからなんだか 調子が狂ってしまって毎日 考え事ばかりしていた右足と左足とが同…