irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

背中

夏がどんなふうに過ぎていっても私たちには関係がないねからし色の明るい夜のなかでふたり乗りの自転車が風を切っていく中肉中背のたおやかな背中後ろからだまって肩に手を置いてみる彼がわずかにぴくりと動く(私はこの人の背中が好きだ) 丸の内の駅まで運…

午後五時

昨日の今ごろはたった今始まる手術のタイムアウト予想手術時間は、という問いに十二時間だという執刀医の言葉に私たちは唾をのんだ きっと助かる、と多くのサインから希望をつないだ私たちは拙い看護師で上を見ればきりがなかったそれでも二人で任せられた夜…

夕暮れ症候群

朝は予定帳を書いて昼は反省文を書くでは夕方は夕方は陶酔、またはロマンチズム食べても食べても満たされないぽっかり空いた胃の中に子どもみたいに雲の味を想像しては行きとどまらない不安で唾がのぼるそこへ行けば詩ができるという喫茶店には迷った末に行…