irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

2011-06-01から1ヶ月間の記事一覧

カエルの子

毎日、飽きもせず石投げ競争に躍起になる 橋の上 二人きり得意げに跳びはねたら蹴飛ばして、突き落とす泥まみれ きみの顔ざまあ 穏やかな気持ちを 指折り否定して ゼロになったら、僕の勝ち。 しってるさ明日も、夕方、繰り返す。 進歩ないって きみにだけは…

わたしには降水確率を確かめる習慣がない

生温い風と むらさきの唇 先週から降り続く雨の うす気味悪さにふるえている(手のひらの血豆がつぶれた) 欲のない日々に少しずつころされている気がする単語の積木はつまらない一人あそびはつづかない雨が降っている場所はどこも なにがなに色をしているか…

レジメンタル・ストライプ

臆病者に誓いはいらない酸性雨に蕩けてく案内役紳士の冷笑シルクハットには オウムの羽根飾りつけてても ネクタイには小さなライオンの眼が、ぎろり、か一歩踏み込めば三日前の水溜まりが ひちゃひちゃと何かいざなう裏通り びい玉の眼をした子どもは手を伸…

癇癪持ち

いったいぜんたい奪うものもなくなった退屈顔のふたりは湿気でうねる髪を持て余す息ぐるしい 夜わたしたちはおそらく これ以上歪ませていくしか手段のないようだ 蛇口ひねったって 子どもできないじゃん きみの命きみ自身否定する人間交際の ひずみから汲み…

背徳の海

望ましい感情はとうに失っているのに奇妙な馴れ合いへの名残が鎖のように作用する四面を塗り潰すような サディスティックな感情がうずまく きみの化粧が剥がれて ぼくの片目がながれて互いに変わり果てていくのを楽しんでいる世紀末の子ども くちづけが本能…

砂のない国

スケッチブックには飛行機雲を書いた きみの地図は流された しけた討論 正義の定義はいたちごっこする絶え間無く白波立つのを見ている なまがわきの唇 間延びした声 細いのどから風に乗る奇妙な歌は滑稽こそすれ今はいとしい(きみは砂上の城にひれ伏した鎮…

散る散る

橙の花まっすぐに伸びた背きみの呼び鈴 小猫のように野原を駆けていく芳しく鼻をつくかおりと そのしゅんかん 千々に乱れる このあつい恋情の一幕も わたしだけに与えられたものではない彼らに背を向けて ふたりひそめきあった 草の根の いろはも きみが放っ…

同胞

赤いお皿のうえに流れた血を知らないきみは今もわたしが産み落とす一つの罪悪に似ている きみ自身なんの罪もなくとも彼らの一存で きみはきみとして機能しない ならば認めない存在として罪だと名付けられるの だろう(思えばわたしはきみのことを一つも知らな…