irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

砂のない国

スケッチブックには
飛行機雲を書いた
きみの地図は流された

しけた討論
正義の定義はいたちごっこする
絶え間無く白波立つのを見ている

なまがわきの唇
間延びした声
細いのどから風に乗る
奇妙な歌は滑稽こそすれ今はいとしい


きみは砂上の城にひれ伏した
鎮座する張りぼての王
権力の前に黙す兵隊の
整然たる並びに埋もれている

継ぐべきことばを失くしたわたしが
きみの心臓を探し求めても
一瞥したきみは
既に石のよに眼冷やかに


きみの持論なら、
歴史をつくるのに
一粒の砂だって欠けちゃいけなかった筈

こんな砂埃一つない国で
わたし一人ぽつねん
ゆくあてなく舞う砂になって
生きていける気なんて