irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

背徳の海

望ましい感情はとうに失っているのに
奇妙な馴れ合いへの名残が
鎖のように作用する
四面を塗り潰すような
サディスティックな感情がうずまく

きみの化粧が剥がれて
ぼくの片目がながれて
互いに変わり果てていくのを楽しんでいる
世紀末の子ども

くちづけが本能に息を吹きかけた
野良犬の街から
背徳の海へ
ほんとうは むかしから
行くことができたのだ

こごえはじめる
冷笑の快感にふるえる
狂おしい愛にのまれていく
そのうつくしい曲線の
長い肢体に秘められたさだめも
この指で撫ぜあげて
変えてゆける気がしてる