irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

2014-01-01から1年間の記事一覧

09

ビー玉で覗いた街は逆さまで このまま二人は二人のようで近隣の自然をみんな食い尽くす わたしのプリン食べた仕返し金曜の夜でも私は私です 何も期待はしないでほしい会いたいと思う理由が保険なら 君も私も楽だろうにね

08

水面が鉛の鏡のようだと言う 君の大袈裟な比喩に戸惑う人として終わり、に思う朝だった 出産シーンで感動しない化学的刺激でわたし黄色くなる 光を失くした花びらになる眠るとは明日への切り替えスイッチを押すということ だから怖くて

手術室_02

標本みたいだな私たちの手のなかで好き放題の躰ポピドンヨードで染まった黄褐色の皮膚メスが入って開創鈎で拡がる人間の中身は なんだか人間じゃない悪いけど人間には見えない ろっ骨を取るよ はい取れました削っておいてね あとで使います先刻まで肉体の一…

07

もう足を洗えないだろうね音楽から 鼓動も楽器に変えるだろうね心のなかひっそり思うことがある 君はギリギリ人間って感じ寂しさは穴みたいだなスコップもシャベルも無いのにいつからあったのこの海は世界の煮こごりなのだと言う 君は沈んでしまう幽木

06

あちこちでみんな見てるよって囁いたら彼女忽ちさくらの花びら龍脈に背いてレインコートを被るそうやって君は欺くんだろ夜と朝はいっしゅんで入れ替わるからほしの大きなまばたきみたいね「月に還る」子宮がわたしに訴える 何か産まれてきそうな週末

盆の腐敗相

死を迎えたそれの腐っていく姿を軒先で一人眺めていれば夏の照りつける日差しで噎せ返る酸の匂いも這い出てきた蛆の活気も痛々しく僕に刺さる 死には 追いつけない しかし 追いつけないところには 死はない滲んだ汗を拭い顔をあげると遠くの方で手を振る女の…

さいあくだ こうして少しずつ諦めて時間だけが過ぎてく22歳 秋そんですぐ冬が来る カロリー摂りすぎて身体が重い さいあくだ半端な人間だ努力は美しいか? 努力なんか できたらしたくない けどこんな曖昧で生き続けるのも苦痛だ やれることが多すぎて絶望は…

希望

慢性的な水分不足で 喉がからからだったよ わたくしの人生への信仰を わたくしのための袋小路を手放すことはむずかしかった幻想はいつも 意図しないときに崩れて この命が最下層に変わる思わぬ速度でのどが狭まって過去という過去の恥に苦しめられる「自分の…

鳴らないナースコール

825号の個室に ぼろぼろの男が入院した 重症の精神状態で 動くこともままならない 挨拶に行くと 男は噛み付きそうな目で私を見た キミは戦友か? 首を横に振ると彼の瞳に陰りが落ちた「インフューザ・ポンプから麻酔を入れる」 医師の提案を彼は拒否した 歯…

らくがき

1.それを前にすると君はよだれかけをして腰かける性的な彩りなんか全然欲しくない性的な彩りなんかわたし全然欲しくない だから走って逃げる走って逃げる 2. 君が欲しいって言ったら服だってなんだって買ってあげるけど家は買わない私の暮らしが出来なく…

わたしが人にやさしいわけは

わたしが人にやさしいわけは わたしを知るのが怖いからさ つぎつぎ次の部屋にいくのが そんな器用に出来ないからさ後ずさりして息をさせてよ わたしが笑顔を振りまくわけは笑顔のカタチを知らないからさ右手、左手、右手、左手 拒絶のコトバを持たないからさ…

異邦人

ある日の晩やってきた その人は隣町の被害者 深夜二時 赤黒い肌で人をぐいぐい引き付ける傷だらけの戦士 右腕に噛み付かれた痕がある麻酔もなしでは手術もできまいに彼は喚くこともなく やはらかに目を閉じた…十四時間の手術が終わる音もえる音 彼の呼吸のは…

夜と朝はいっしゅんで入れ替わるからほしの大きなまばたきみたいね

夢のなかにあらわれた 私がわたしと会話する 君自身がなれもしない理想像を 他人に押し付けては君はまたどこかへ行くんだな 鏡の国 わたしは真実のふたを閉じる こたえることが できない 真実のふたを 夢のなかでさえ 開けようとしないで

アイドリング

だいぶカジュアルな格好で攻めてきたね君の中に棲む悪魔その若さで立派な悪魔ちゃん お嬢様の君が禁じる言葉が三つ「はい」 「いいえ」 「僕のもの」とどのつまり僕はひっそりと君との情事を思うに尽きる誇大妄想的情事 踊らされてる自覚はある きみを思えば…

聖女説

細くて小さな女の子 平衡眉で困り顔 赤い赤いぽってりした唇わたしのなれなかったわたし友だちの多い女の子スイーツパラダイス ラウンドワン わたしの行かなかった場所わたしのなれなかったわたし友だちどうしの会話に花を咲かせながら おんなじ顔してわたし…

さみしいさみしい

わたしは売り払われた子どもじゃないんだよ虚ろな目をしてるのは周りのやつらのほうだってのに可哀そうにってか可哀そうにってか午後3時50分だいぶ待ったけど君は来ない夜の間抱き留めあったからだを昼には要らないと言う愛されなくて結構の わたしは君の手…

追憶

彼方は過ぎ きみは誰かの胸に抱かれている愛に満ち華やいだきみはいっそう人を惹き付けて私の胸をまた少し焦がす思い出は重く 捨てられない荷物 本棚のいちばん上の 装丁の厚い本のように日々少しずつ焼けていく頁まだ読めない ふたり別々の船に乗ったんだ海…

05

イメージで雨女って言われるならわたしの四半世紀はどこへ子守りなどしたくもないけど真似事をさせてわたしの母性よおいで~ですね、~ですかねがこの場合 気まずさを埋める小石のようで月を追う どんどん悪くなるようにも また転んでも諦められずにでも夜に…

かなしい母子たち

いのちを ひねりつぶした助けは 求めていたんだ ずっと前から耐えることができなかった 様々の圧力から言葉は私を奪い私もまた言葉を信じなくなった子ども一つ守れぬなら私は人の道を外すのだ お前たちは言う なんてひどいことだと胎児よ 君はどう思う?この…

結局は他人であるので私は君の暴力を恐れている女性であるだけで圧倒的に弱い ましてや君が望む私になれない こだわり出したらきりがない 闇のパズルを君は解いている私が喋りかけても終日つくり笑いでかわしながら なぜ人間性が崩壊しないでいられると真っ…

プライド

自意識の強さたるやほかに類を見ない きみは瞳をまっすぐに ずっとわたしを見つめている そんな求めるような目つき気が狂う少しでもよろけたら最後の橋の上きみは手を差し伸べないつもりか? 期待をするな、ときみは言う。 辛いことは、胸のおく。 共有なん…

ゆける

めまい、 十二階建てのビル夥しい数のお喋り嘲笑 怒号 雑踏は現実 誰かのせいで誰かが躓き そして誰も謝ったりしない幾千幾百の手のひらが踊り誰もわたしを救いはしない それのどこが悲しい馴れ合いもいち手段だし わたしも誰かにもたれる気は無いまぶたのう…

夜のとばり

水面に投げた石、 月に当たって跳ね返る。 氷の言葉は切り口鋭く、ふかく突き刺す。 水面は透き通った空気 少々の揺らぎもよく響く。 書き留めることも忘れているような、とりとめのない会話を底に蓄積させている。 君は手のひらの上で泣く子供。 小さな子供…

時間

いつも明け方過ぎに抱き合う つめたい唇の温度にふるえて やわらかな肌と鼓動に委ねる電子音聞こえてもやめないで母親の目は扉の向こう側ふたりしか居ない一日いちにちを奪い合うように、 時間を食い潰すように、 居る不安が滴り落ちても ここにあるものがす…

04

きみを知るために手段はえげつなく 呟き、mixi、前の恋人またきみがドタキャンするって知らないから 別段好きでもないのにラーメン「○○くん」「○○さん」の枠を出ず 君のソファーで 君は指さえ触れようともせず思い入れの重機撫ぜるのと同じ具合で触れてきて…

ごっこ遊びの夜

深淵で見失った わたし自身の陰を なぜきみが追うのかな他人であるのに分身のように振る舞って思い入れは本当だろうか わたしの心はあちらこちらへ移動し言葉は瞬きの間に入れ替わる(疑うほうが圧倒的にらくなのだ)濃霧の森、ぬかるみの土壌ひたひたと きみ…

わたしの中には爬虫類が住んでいる

わたしの中には爬虫類が住んでいる きみにもっとぎりぎりまで攻めて欲しい舌を噛まないよう気を付けるから逃げ足の速いわたしをどうか括りつけておいて ほんとうはただそばにいて欲しいことを言えないことをきみのせいにしたい人間でさえなければ もっと楽だ…

03

午前2時野菜スティックかじりつく 背中丸めてテレビ見るデブ「わかるわかる」わたしは分からん 地下鉄が暑いこととかレッドブルとか洗濯機も、スマートフォンにも苛つくし 傷つかないよう浅く信じる母からの玉ねぎまだ冷蔵庫の奥で 食べられもせず芽も伸ば…

フィクションです/対岸

進めないからって わたしに当たらないでよ帳尻合わせは手前の仕事ここに何人、おんなじ人がいると思う。 論じるならもっとテキカクに。ノートの端は5mm残して。かしこまってもない きみの言葉は早々にポイです。ポイです。せせら笑うならもっと高らかに。ラ…