irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

盆の腐敗相

死を迎えた
それの
腐っていく姿を
軒先で一人
眺めていれば
夏の照りつける日差しで
噎せ返る酸の匂いも
這い出てきた蛆の活気も
痛々しく僕に刺さる

 死には 追いつけない
 しかし
 追いつけないところには 死はない

滲んだ汗を拭い
顔をあげると
遠くの方で手を振る
女の姿がみえる。
裸で
丘の上で。

そこは暑いから
こっらに来たら。
声に出そうとして
あっ
僕は言えなくなる
あれは
僕を産む前の母なのだ。