irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

まさか

私たちのヒガイシャ意識は日々向上していきまする皮肉を言うときには必要ないから今は国語辞典も売れない珈琲一杯と自転車のカギの金具が同じ値段だなんて、わたし絶望する間もなくスーパーでもやしを買った私たちはまさかに強くならなくちゃいけない神妙に…

シソーラス、言葉の海

シソーラス だなんて変な言葉だ類語辞典のことだと知ってはいるけれど信じられないシソーラスだなんて シソーラスは 大海をゆく船七つの海を越えて宇宙へもゆかんとする世界中の注目を浴びて船長は誇らしく舵をきる シソーラスは 土曜と日曜のこと今度のシソ…

空に月は

空に月はメダルのように街角に建物はオルガンのようにそんなふうに見えたことはなかったメダルは水族館で買ってもらった日付入りの記念メダル建物は一群で浮かびあがるんじゃなくいつものそのただ中から見上げてきた 空に月は湿った弾丸ラアラア唄いゆく土埃…

炭酸が微炭酸になる頃には夏は終わってしまうんだろうか昔よりもこの季節を愛せるようになったのに 一度に二つ以上の荷物をもたないこと沈黙もときにはじゅうぶんな言葉になること自分を慕ってくれる人を人は憎まないということ自分とほんのわずかの身内が幸…

病院の売店

地下二階のMRI室へ続く薄暗い廊下の先に 病院の売店がある店員はユキコとサチコの二人だけユキコは必要以上にせっかちな小太りのおばさんでサチコは必要以上に丁寧ながりがりの骨ばったおばさんだ入院患者の楽しみといえば外とつながることができる売店の存…