irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

2020-01-01から1年間の記事一覧

火事

川沿いのうどん屋の上流で火の手が上がるリカバリー不能のメッセンジャーのやり取りうんと前のやつ返す前にそのまま 火に焼かれて死ぬそんな気持ちで生きていたい背中のケロイドを負う少女は重たい十字架雨が降ったら良かったのに昨夜はあんなにうるさく降っ…

たぶん一生

きらきら男子の日常には草も転がらない末広がりの夜更けには恋人とのロマンチックとあるべきで横目で嘲笑して次の娯楽を待っているリアリティー番組の終わり 軟口蓋に粘っこくからんだあの人の煙草のけむりが癌みたいにずっと戦い続けるものであること幼さの…

創造的な人々に

彼らは絵本の中の子ども教室から息切らして逃げてきたシェパードの取り逃がしの二人 彼らは宇宙テキ時間感覚で何百のイメージをていねいに摘みとる花の影、目の横の皺、草の海お日様を作るのさ、と笑った化学実験は終わらない 彼らの料理は最高だけれど同じ…

heureux

人差し指が入っていきそうと思う臍の暗がりに第一関節までも入らないのを確認して頬を寄せる 生暖かい海がこの中にあるんだと思う多分 わたしにも 震える膝にボールペンを突き立てて飛び上がる前に君が鉛筆の跡はぼかせる と わたしの膝をこする だから融け…