irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

アラビアータ

秘密を抱えた少女はよそ者を忌む目つきで押し黙っているにこにこと笑っていても砂漠の花はけして揺れない 途切れなくこの道をつくる石は誕生と同時に交わされた永遠につづく契約を物語っている もうすぐ大喧嘩になるわよ、と肩を竦めて舌を出してみせた扉の…

明かり落とせ

あかい部屋鼓動のすえに鳴る言葉 一刻一刻に脈々と受け継がれた螺旋を知る (思いのほかうつくしいひと葉を夢見ていた) 包まれていく包み焼きになるきみの火山で もういいよ明かり落とせ少し休むだけ

クレーター

とらわれないまま星の陰に包まれて追いかけっこで満腹になる水かけあそびに夢中になった幼い記憶も地殻に沈んできみの頬をつねった痛がるから夢じゃないんだって思ったのに、もう負けきみが笑うからぼくはまともに見れないでこの水を呑む間違い探しは簡単涸…

昼下がり逃げるように家を出たお腹が痛かった遠くで雷が鳴っていたおじいさんが道に迷っていたギリギリのラインで信号渡れなかったiPodを置いてきたお腹がきりきり痛んだ

無口な貝柱

目の前のひとができるだけひどいめにあえばいいのにとおもうときこころがすみやかに暗幕をひいて深海の闇が広がっていくのをかんじる無明無音の舞台外側から聞こえる嘲笑や罵倒が感情の暴発をくすぐっているそれら感情の首ねっこを押さえ呑みこみ堪える作業…

環状線

やさしさが乗り込んだら すぐにわかる背後で そっと首に手を添えている わらい声は ポリエチレンの膜となって わたしの口、そしてつま先まで覆う定時帰りの悪童の横柄なふるまいさえ少しうらやましい定時帰りのわたしは茹だるような電車のなか浅い呼吸をして…