irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

環状線

やさしさが乗り込んだら
すぐにわかる
背後で そっと
首に手を添えている
わらい声は
ポリエチレンの膜となって
わたしの口、そしてつま先まで覆う

定時帰りの
悪童の
横柄なふるまいさえ
少しうらやましい

定時帰りのわたしは
茹だるような電車のなか
浅い呼吸をして
けして牙をむかない
浮いた台詞の扱いかたを
体に叩き込んでいる
ひと並に やさしさが纏えるまで
この環状から 降りられるまで