irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

追憶

彼方は過ぎ
きみは誰かの胸に抱かれている
愛に満ち華やいだきみはいっそう人を惹き付けて
私の胸をまた少し焦がす

思い出は重く 捨てられない荷物
本棚のいちばん上の 装丁の厚い本のように
日々少しずつ焼けていく頁
まだ読めない

ふたり別々の船に乗ったんだ
海を越えてゆくつもりもない
遠い地平で鳴る呼び鈴を
今は誰かが駆けつけてゆく

おんなじ船ではなかったから
触れもしないで満たされてる
愛と言ったら早熟だろうか
その過程だと、言っていいかな