irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

ごっこ遊びの夜

深淵で見失った わたし自身の陰を
なぜきみが追うのかな
他人であるのに分身のように振る舞って
思い入れは本当だろうか
わたしの心はあちらこちらへ移動し
言葉は瞬きの間に入れ替わる
(疑うほうが圧倒的にらくなのだ)
濃霧の森、ぬかるみの土壌
ひたひたと きみの来れない場所へ行く

狼に出会っても 今はこわくない
狼はいない

雲間からのぞいた月に
照らされたら浮かび上がる
わたしの陰をきみが踏む
どこまでいっても追いかけると
きみは後ろからそっと抱きしめる