irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

異邦人

ある日の晩
やってきた
その人は
隣町の被害者
深夜二時

赤黒い肌で
人をぐいぐい引き付ける
傷だらけの戦士
右腕に噛み付かれた痕がある

麻酔もなしでは
手術もできまいに
彼は喚くこともなく
やはらかに目を閉じた…

十四時間の手術が終わる


もえる音
彼の呼吸のはじまりの音

目をさます
彼は
還ってきた生命体
みずみずしい


神が授けた祝福を!
神が授けた祝福を!

そうしてまた
転がり落ちるのも一興さ
彼は笑う
げらげら
笑う