irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

2011-06-02から1日間の記事一覧

砂のない国

スケッチブックには飛行機雲を書いた きみの地図は流された しけた討論 正義の定義はいたちごっこする絶え間無く白波立つのを見ている なまがわきの唇 間延びした声 細いのどから風に乗る奇妙な歌は滑稽こそすれ今はいとしい(きみは砂上の城にひれ伏した鎮…

散る散る

橙の花まっすぐに伸びた背きみの呼び鈴 小猫のように野原を駆けていく芳しく鼻をつくかおりと そのしゅんかん 千々に乱れる このあつい恋情の一幕も わたしだけに与えられたものではない彼らに背を向けて ふたりひそめきあった 草の根の いろはも きみが放っ…

同胞

赤いお皿のうえに流れた血を知らないきみは今もわたしが産み落とす一つの罪悪に似ている きみ自身なんの罪もなくとも彼らの一存で きみはきみとして機能しない ならば認めない存在として罪だと名付けられるの だろう(思えばわたしはきみのことを一つも知らな…