irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

思い出

ねえ 授業中
カンニングしてたでしょう 知ってた
壊れて間もないメトロノーム
壊れたままの古いチャイムと
あの頃 君の描く無重力に私は酔いしれていた

まだ君は かくれんぼしてるだろう
気づいて
上司も君に目つぶしをしたい
悦ばしいのはリストラ
晴ればれとした気持ちで
卒業式以来のセレモニーを開こう

あの頃 私は重力の中で いくつかの軌道を描いた
そのどれにも乗れた
書いては消す交換ノートの中で
君と放課後に作り上げた軽音楽の中で
私たちの未来は 猛烈な輝きを放った

著しく上昇していく株価と
飛行場のざわめきの中で
君が手を振る
幻なのかもしれない軌道に乗るのを見送る

こういうこともあるようだ
希望は常に逆説的に持っておいて
ちゃんと家まで帰れるように