irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

写真

近所で買い取られた土地には
大型ショッピングセンターの名前が刻まれている
見事に土しかないところだ

機械で裸にされる前
ほんとうはもっと違う形状をしていたはずなのに
誰もその姿を思い出せずにいる

殺伐とした風景には
何本かの麒麟が刺さっていて
みなわたしに背中を向けて夕陽をみている
哀愁さえ感じる背中だ
なにがそんなに悲しいのだい
アフリカに帰りたいのかい
立ち上がってゆけばいいのに
彼らは口を利くこともできず夕陽をみている

そんな姿を
写真に収めなければいけない気がして
思わず父のカメラを勝手に使ってしまったけれど
現像してみたら逆光で何も写っていなかった