irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

欠伸の庭 / 違えねえ

違えねえなあ、のしわがれ声は
私をすとんと落ち着かせる

まだ見えなかった先の話も
近づけばらくになると言って
私の頭を撫でた

真っ赤なつぼみ

大人になりたかった時代でも
だまされているのは知っていた

縁側の二人とつぼみ

違えねえ、が聞こえると
私は必ず口をつぐんだ
いまや膨れて、あふれでそうな
重い木箱に蓋をして

違えねえなあ、の呟きは
先にゆくほど霞んでく
何度咲いても
帰りはいつ、とも聞けないままに