irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

スモーカー

喫煙所には三人の男が立っていた
そのうち一人は肺気腫の患者だがあまりお互いに関心はないらしい
ひそひそと話をしているがここではよく聞こえない

恋人が何か囁く
ずっと聞こえているのにすぐに忘れてしまう
忘れるために聞いている

一本のシガレットで肺を潰して
みずみずしい歓びを得る
いつも土に還る日のこと考えてるってのもオカシイ話
始まったときから終わりを望んでいるような私

溜め息でも肺は潰せる
感動していなくても胸は詰まる
喫煙所の男たちのように
ひとに関心を持たなければラクちんだ

本当は大嫌いなのに夢の中でも吸っている
吸うたびに この身がここにあるってことを
信じられなくなっていく