喫煙所には三人の男が立っていた
そのうち一人は肺気腫の患者だがあまりお互いに関心はないらしい
ひそひそと話をしているがここではよく聞こえない
恋人が何か囁く
ずっと聞こえているのにすぐに忘れてしまう
忘れるために聞いている
一本のシガレットで肺を潰して
みずみずしい歓びを得る
いつも土に還る日のこと考えてるってのもオカシイ話
始まったときから終わりを望んでいるような私
溜め息でも肺は潰せる
感動していなくても胸は詰まる
喫煙所の男たちのように
ひとに関心を持たなければラクちんだ
本当は大嫌いなのに夢の中でも吸っている
吸うたびに この身がここにあるってことを
信じられなくなっていく