irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

夜の高速 柔らかロード

バスがつれてく
東のくにへ
ぼくはこれでも
人見知りのつもり

浅瀬にかがんだ
夜顔
束に集めて贈った日
ぼくたちの青春は
始まってもいなくて
だから少し急ぎすぎたね
もういいよと言うのに
その先は唇を結んで
弾けた実を恐れたりして

いま通り過ぎた灯台が
ぼくらの街を照らすかな
声より速く
祈りより確かに
宵も変わらぬスピードで
何度だって星を廻れよ


運転手の背中を
そっと押してみる
居眠りしていたのか
びくりと肩を震わせて

ちょっとさむしいね、と
だれもいないみたいに呟いた