irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

糖分過剰時代

今日も1カップのシロップを呑んだ
わたしの習慣だ
あまいと思っている一瞬は 快楽
世事に囚われない 動物としての至福にひたる

夢も毒も 魅了されるのは そのあまさゆえならば
このシロップ漬けのからだで
みずからこれ以上 求めるものなどあるの

見渡すかぎりのものは
すべて砂糖だ
と気づいたら 同時に
すべて壊してしまいたいと思った
生きる理由を得るために

こんど、夕方のニュースで少年犯罪が取り上げられても
わたしは驚かない
それはわたしかもしれない
彼等と同じように わたしも言うだろう
"つまらなかったから。"

ほら見て
床は黒糖
壁は上白糖
蛇口を捻れば、ガムシロップ
オブジェは和三盆

糖分過剰の世の中じゃ
動物として満たされたからだは
やがてみずから絶望を選ぶ
それを絶望と認識する感覚さえ麻痺して

そういう時代だって
妙な話