糖分過剰時代
今日も1カップのシロップを呑んだ
わたしの習慣だ
あまいと思っている一瞬は 快楽
世事に囚われない 動物としての至福にひたる
夢も毒も 魅了されるのは そのあまさゆえならば
このシロップ漬けのからだで
みずからこれ以上 求めるものなどあるの
見渡すかぎりのものは
すべて砂糖だ
と気づいたら 同時に
すべて壊してしまいたいと思った
生きる理由を得るために
こんど、夕方のニュースで少年犯罪が取り上げられても
わたしは驚かない
それはわたしかもしれない
彼等と同じように わたしも言うだろう
"つまらなかったから。"
ほら見て
床は黒糖
壁は上白糖
蛇口を捻れば、ガムシロップ
オブジェは和三盆
糖分過剰の世の中じゃ
動物として満たされたからだは
やがてみずから絶望を選ぶ
それを絶望と認識する感覚さえ麻痺して
そういう時代だって
妙な話