irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

地底

薄暗く雨の滴る
高速道路に乗せ上げられた
「元町
三丁目まで降りられません」のアナウンス
何もしたくないから
何もしたくないプレイリスト
両耳の内側でくぐもった音
いま見てきた
情報量の多い
・桃色の唇とうるんだ瞳の女
・木彫りの鯰
・太く乱れた筆致の黒い十字架
作りものもニセモノも
感性により成る蜜である

日々の密度を反芻する
情報量の多い
雨が続いて
ずっと続くような高速

とうとうここまで来てしまった
戻れないところまで来てしまった
雨とともに雷とともに
終える七月の夕べ
わたしの全責任を
灰色の鯰が食べていく