irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

さざなみ

湖から海の音がする
柵の内側は悦楽の入り江
切りっぱなしの大きな岩の上に寝て
ジュースになったアイスクリームを垂らし
金平糖のような夕陽に目を細める
浅い呼吸で
肺は外気の冷たさに縮む
いつまでも融け合えない

融けたい
君だけが融かしてくれる
でなければ涙を流して
体を隅々まで枯らしてしまおう
かりそめの居場所に
めいめいが意義らしいもので結ばれ
それは支柱であるという
それはどういうことなのか

君がわたしの手を引いて
どこにも書いていなくても
柵の中は入っちゃだめ
と呼び戻す

生きている限り
わたしがあなたの支柱になって
そこに生じる義務を悦び
永遠のように生きていく
黄金の湖の眩しい光
海から遠く切り離された
哲学のさざなみ