2021-06-29 追悼 2021 詩 寒々しい病室を抜けて小さな棺を抱えた春君はてんで変わってしまって過呼吸になるほどの涙がまだ止まらない打楽器が地響きのように鳴り金管が出鱈目に木管が発作のように笛を吹く名前の知らない楽器らが好き勝手にやっている間君は一睡も出来ない 持病の具合を尋ねてよく日に当たった布団を掛けるゆっくり休んで休んだあと、どこに行ったら良いと理屈のない説明で説明するのが良いのだろう 白樺の樹液を飲み干してわずかな鎮静を分かち合う極東に刻まれた一筋の皺君の生きる曲線と重なっていく