irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

追悼

寒々しい病室を抜けて
小さな棺を抱えた春
君はてんで変わってしまって
過呼吸になるほどの涙がまだ止まらない
打楽器が地響きのように鳴り
金管が出鱈目に
木管が発作のように笛を吹く
名前の知らない楽器らが好き勝手にやっている間
君は一睡も出来ない

持病の具合を尋ねて
よく日に当たった布団を掛ける
ゆっくり休んで
休んだあと、どこに行ったら良いと
理屈のない説明で説明するのが良いのだろう

白樺の樹液を飲み干して
わずかな鎮静を分かち合う
極東に刻まれた一筋の皺
君の生きる曲線と重なっていく