irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

過呼吸ひとつ起こらない

抱き合わせなのか
背負ってきた嘘も誠も
口をつぐんで、誠実さを装う
黙っていれば、済むものを
君というひとはほんとうに余計なことを言う。

抱き合わせにしたのは
私の性分による
不可解な行動に反発するのは
瞬発力が要るからたいへん疲れるのである

彼女の、一所作、挙動に
気をとられてばかりにもいかない。

グレーのコートを羽織って
道化しはじめた月から逃げて帰る
コートの下でわたしは泣いた
かなしいことに
今日も過呼吸ひとつ起こらない