irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

中川運河から

せき止められた言葉があるなら
私は行き止まりの川のうっそうとした茂みや
平面構成されたRPGの世界のような川辺の工場や
彩度の低いこの街で滲み燃えている
洗濯物や花の赤い色の中にそれを見る

会話は川に流されて
幾度もゆきすぎる列車の音にかき消されて
私たちの影もかたちも遺らない

ラヴホテルが川の上流で
生きていこうか 戻ろうか
生きていこうか 戻ろうか
と 囁いている 虚構

だから ほら またトラックが列車が
とりとめもない感情を下ろしにやってくる
松重閘門は時代に取り残された大名のように
頑なにおし黙って
この街を見下ろしている