irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

祈る

一月の早朝のほの暗い空から
溜りかねた一滴がつむじの上に落ちて冷たい
地下鉄へ続く階段にはコーヒーと
アルコール代謝ドリンクの空き缶
ラブホテルのエントランスの薄汚れた明かりが
それらを照らして浮かべている

わたしは階段を下りていく

どこへ行くのだろう今から
どこへ行くのだろう

純粋さは星
純粋さは音
純粋さは呼吸
朝には見えなくなる

今 雨が降りそうでも
傘を取りに戻ったら間に合わない
間に合わないという事が
みなを駆り立てているすべて

日が昇る前に漂っている欲望
気付いたらきっと逃げ出しても良い
時間通りの地下鉄で
祈りを捧げる場所に行く