2020-05-09 創造的な人々に 彼らは絵本の中の子ども教室から息切らして逃げてきたシェパードの取り逃がしの二人 彼らは宇宙テキ時間感覚で何百のイメージをていねいに摘みとる花の影、目の横の皺、草の海お日様を作るのさ、と笑った化学実験は終わらない 彼らの料理は最高だけれど同じものは二度と頂けない際どさが一層の調味料になる一言持ち上げると二人のコックは上機嫌「月のソテーが一番うまいさ」月の兎も初耳だろうて ときは四千X年から来た魂が彼らにすっぽりはまっているからわたしも魂の有るままに自由に行けるような気がする お日様が照らすのはこの星ばかりでない届かないところに居ても確かに見える子どもたち 初稿 2010年頃
2020-05-09 heureux 人差し指が入っていきそうと思う臍の暗がりに第一関節までも入らないのを確認して頬を寄せる 生暖かい海がこの中にあるんだと思う多分 わたしにも 震える膝にボールペンを突き立てて飛び上がる前に君が鉛筆の跡はぼかせる と わたしの膝をこする だから融け合わないことを知っていて契りは自分に科すもの私たちはheureuxはちみつのよだれ驚いたら 左側で聞きなれない息の音にわたしの海のさざなみを聴く
2019-10-30 詩になる身体 詩 どっちつかずの言葉が詩になるならいっそ何も知らないままで良い無知の断罪を晒して生きた証にしてみたり 主義主張のない両親の庇護の下で暮らしたいいつからかまぶたにできたシミをなぞって時間の逆流を思っている 両手の指より意識が多い三次元で生きていくにはどうやら身体を持て余す 鏡の中に母親の顔は写らない遊びじゃないのにテーブルに展開した積み木の結論何度もばらしてばらしたままのほうが良い
2019-10-28 劇場 詩 舞台袖に催涙弾を投げ壁の穴に耳打ちをし笑い声が音響になる高架下からヒキガエルが飛び出しみんなが引いている どちら側からでも迫れる強力な観念持ち合わせた おどろおどろしい漬物を箱ごと炒めてすべて使ってしまった土曜日の郷土料理の鍋敷きになる踏み固められた劇場
2019-10-28 スポッティング 詩 喜びは補正しなくちゃ色を塗って汚れたら水で浮かせてうまくやれたら立体になる 思い出づくりが得意だ趣味が合わないのはそのせいだ歌を歌えばどの音も半音上げるから愛されない音痴だ 日めくりカレンダーめくるのが勿体ない五百回くらい同じところを回ってはバターになる前に気がつくような調子 合理的なことに正義を見出して言いたいことを言おうハイトーンの思い出くそくらえ コミカルな発言に象られる空想とのギャップがリアルに引き伸ばされる補正のあとに生まれている非現実のくそくらえ
2019-10-27 劇場2 詩 横取りはしない主義でも横入りは無意識のうちによくしてる踊らないとおとぎ話にも出してもらえないから苦し紛れにやっている選んでいるから選ばれる一途な心は浮遊する仕事着は血で汚れているからカモフラージュの衣装と同じロッカーに入れられないのです
2019-08-10 表現の不自由 夜になるほど、唇は左を向くから愛国心に背を向けたわたしの指先など、きみは忘れてしまうだろうどっちらけの仲でも両端に光の灯った国会議事堂で新しい言語が、習慣になるまで もちろんそんなことで美人は夜逃げしない落としたまぶたと、まつげの先まで整ってだから信じた 車椅子で盲導犬と、官能的な絵の展覧会を楽しんでは、だめ?友達にはそこまでだって嘘をついた激高していたのもフェイクだってフェミニストと処女、だったから