irohato

a_yによる詩や短歌 https://utubuse.wixsite.com/ayweb

八月三十一日

八月三十一日を前に
わたしは失恋したのだった
そういう告白を
わたしはツイッターでして
なに食わぬ顔で
揺れるジェリー状カラフルソーダの写真を添付した

本当は待っても待ってもわたしの順番は来なかったのだ
公式ホームページの写真を加工して
誰かのレビューを適当に引用した

大学生は爽やかに会話する
密やかに 濃密な空気で肩を寄せ合うのが恋人だ
友だちはスマートフォンでハートを送り合う

八月三十一日を前に
わたしは失恋したのだった
待ち時間は苦痛ではなかったけれど
あんまり日差しが強いので
雨が降れば良いのにくらいは思った
家族の成り立ちは驚くほど形式ばって
少なくともそういうふうに政府には認識されている
形式ばったものへの憧れを認めなくてはいけない
暑い日だった
店員は忙しく働いておりメニューについて詳しく聞くことは出来なかった

子どもが九月一日に自殺をするように
あるはずの区切りがないように思えたら
苦しみである
そしてわたしはSNSを破壊し
子どもたちに囁く
「いっしょに逃げよう」と